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前立腺癌(ぜんりつせんがん)

前立腺癌(ぜんりつせんがん)

  • 健康診断などの血液検査のPSA(前立腺癌マーカー)をして偶然見つかることがあります。
  • 全く症状がないことが多いです。症状がでた時には前立腺癌が悪化していることがあります。家族に前立腺癌のいるかたは、ぜひ定期検査をお勧めします。
  • 年齢によって治療方法が違っておりますが、早期の場合は最新の手術(低侵襲ロボット手術)が適応です。がんでも放射線治療(IMRT、小線源療法、(重粒子線・陽子線治療など))が可能ながんとなっております。

原因・統計

 前立腺がんの原因として食事が重要で、脂肪の摂取量が前立腺がんの発生に最も関係していると考えられています。中でも動物性脂肪、特に赤身肉や乳製品の摂取との関連が指摘されています。
 米国では男性で最も多いがんで、死亡率も第2位です。前立腺がんは、食事の欧米化もあり、日本でも近年急増しています。(増加率はすべてのがんの中で第1位)

症状

  • ● 一般的な症状は無症状(自覚症状がない)です。
    頻尿、尿がでにくい、などがあった場合は進行していることがあります。

検査・診断

 PSAが高い場合は、直腸診、前立腺MRIをお勧めします。
 PSA  4ng/ml以下が正常ですが、年齢層によってその数値は微妙に違っております。PSA 4から10ng/ml(この範囲は「グレイゾーン」といわれています)そのうち、前立腺がんの可能性は25%くらいになります。PSAが10ng/ml以上になりますと前立腺がんは50%以上でみられます。重要なことは、PSAのみでは前立腺がんの確定診断はできないのです。
 前立腺肥大症前立腺炎などの他の前立腺の病気でもPSAはしばしば上昇することです。

 前立腺がんの確定する診断方法は前立腺生検(前立腺組織を一部採取)を行います。施設によって様々ですが、眠りながら検査をすることも可能です。その場合は無痛です。麻酔での前立腺生検は1泊入院が必要ですので河北総合病院、杏林大学病院を紹介させていただいております。

前立腺生検でわかること

 病理結果でわかることは癌の有無です。また癌が見つかった場合はその悪性度というのがわかります。その悪性度をグリソンスコアgleason's scoreといい、2か所の合計点で点数が高ければ顔つきが悪い癌と診断されます。スコアが6点以下:高分化(進行がゆっくり) 7点:中分化(癌と診断される患者さまで最も多い点数) 8-10点:低分化(進行が速い)

癌が生検で見つからなかった場合

 生検ではすべての前立腺組織をとったわけではありませんので引き続き定期的なPSA(3か月に一度)のフォローが必要です。

癌が生検で見つかった場合

 その前立腺癌が転移(他の臓器に飛んでしまうこと)をしていないかチェックをします。
 病期診断(ステージング)を行い、治療と選択します。

治療

 前立腺癌の治療は他の癌に比べて非常に多くの治療方法があり、手術、放射線、内分泌療法などがあります。手術は施設によってさまざまで現在は多くの施設でロボット支援手術といい、低侵襲(傷口が小さい、出血量も少ない)といわれております。放射線の治療方法はたくさんあり下記に示します。

手術

 前立腺を周囲の臓器ごと、すべて摘出するのが基本です。開腹手術のほかに腹腔鏡下手術があり、手術ロボットを利用するロボット支援腹腔鏡下手術も2012年に保険適用になりました。

適応病期 T1c~T2b
手術合併症 前立腺全摘除術は尿失禁、勃起不全などの合併症を伴う可能性がありますが、手術支援ロボットの利用でその低減が期待されています。

放射線治療

 放射線を照射して癌細胞をやっつける治療方法です。できる施設が限られておりますが、癌によっては手術に匹敵する治療成績が期待されております。最近では骨転移の痛みの緩和(やわらげる)などで放射線治療をすることもあります。保険適応のものと保険が適応ないものがあります。

1 IMRT:強度変調放射線治療(保険適応)
 放射線のあてる量の強弱をつけて、癌細胞に集中して照射する方法です。今までの放射線治療(3D-CRT;三次元原体照射)とは違い周囲の正常組織にかかる線量を最小限に抑えることができるので、治療成績の向上と合併症の軽減ができるといわれております。
適応病期 T1~T3でリンパ節転移がないこと。
治療期間 前立腺全摘除術は尿失禁、勃起不全などの合併症を伴う可能性がありますが、手術支援ロボットの利用でその低減が期待されています。
合併症 皮膚炎(かるいやけど)、前立腺の近くの合併症(直腸潰瘍・出血、膀胱炎)
2 小線源療法(密封小線源永久挿入治療)(保険適応)
 放射線を放出する直径0.8mm程のかなり小さなカプセルを、麻酔して前立腺内に埋め込む治療です。前立腺の大きさによって違いますが通常50~100個を埋め込みます。前立腺の大きさ40cc以下が理想ですが、それよりも大きい場合は体外の放射線治療も併用することがあります。
適応病期 T1~T2リンパ節転移がないこと。
治療期間 入院で3泊4日程度
合併症 前立腺の近くの合併症(直腸潰瘍・出血、膀胱炎)
3 粒子線療法(保険適応外)
  • 陽子線ようしせん治療 ~水素原子を用いた治療
  • 重粒子線じゅうりゅうしせん治療 ~炭素原子の原子核をビームに収束させ照射する

 体の深い場所にある癌に線量を集中してあたるように調整ができるので、皮膚や正常な組織のダメージが少ないというメリットがあります。

 最近では先進医療対象として民間の医療保険に加入している場合は重粒子線なども対象になっている場合があります。ご自身が入会している保険会社にお問い合わせください。

薬物治療

 前立腺癌の他の癌にはない唯一の治療です。前立腺癌を増殖させる男性ホルモンの働きをおさえることで癌の進行を抑える治療となります。
 適応はほとんどの方が適応ですが、一番は年齢や他の病気が理由で手術・放射線治療などがうけられない場合です。

1 内分泌療法(ホルモン療法)
 最も多く使われるのは、LHRHアゴニストというホルモン注射薬(リュープリン®、ゾラデックス®)です。この薬は脳下垂体に働きかけて、精巣からのホルモン分泌を抑制します。
 ただ、男性ホルモンは精巣のほかに、少量ですが副腎でもつくられます。LHRHアゴニストだけでは不十分と判断された場合は、前立腺の男性ホルモン取り込みを遮断する抗アンドロゲン剤(ビカルタミド®)の内服を併用します。
 2012年にはGnRHアンタゴニスト(ゴナックス®)も承認されました。LHRHアゴニストと作用機序は少し異なりますが、同じく男性ホルモンの分泌を抑えます。

 副作用としては、急な発汗やホットフラッシュ(のぼせ)など女性の更年期障害に似た症状が頻出するほか、体重増加、乳房痛などもみられます。性機能も障害されます。副作用が出た場合、内服薬で改善します。

 内分泌療法は効果の高い治療法ですが、続けているうちに効果が薄れてきます。抑え込まれていたがん細胞が、男性ホルモンがなくても増殖する性質(去勢抵抗性)を獲得して、再び活動を始めるからです(再燃)。去勢抵抗性きょせいていこうせい前立腺がん(CRPC)に対しては、女性ホルモン剤ステロイド抗がん剤などが用いられますが、これらも効果には限界があります。

内分泌療法と骨粗しょう症について

男性ホルモンの分泌を少なくする結果、骨の量(骨密度)が低下して骨粗しょう症になります。男性ホルモンの分泌が少なくなることで筋肉低下することから骨折のリスクもでてきます。大切なのは骨の栄養素となるカルシウムに加え、ビタミンD、ビタミンKが豊富に含まれた食事を心がけましょう。

カルシウムの多い食品 牛乳、チーズ、大豆(豆腐、みそ)など
ビタミンDの多い食品 さけ、サンマ、かつお、うなぎ、きのこ類
ビタミンKの多い食品 卵、ホウレン草、納豆など

ビタミンDは日光浴をすることで活性化して、カルシウムの吸収をよくします。また適度な運動でも骨粗しょう症を予防することもできます。