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狭心症・心筋梗塞(冠動脈疾患)について

冠動脈疾患とは、心臓の筋肉(心筋)への血液の供給が部分的に、または完全に遮断される病気の総称をいいます。

心臓は主に全身に血液を送るポンプの働きをしており、また心臓自体は主に筋肉(心筋)でできております。その心筋は常に酸素の豊富な血液を必要としており、心筋に血液を運ぶため心臓から大動脈へ出た直後に枝分かれしている血管を冠動脈といいます。冠動脈疾患は血流を遮断し、胸痛(狭心症)または心臓発作(心筋梗塞またはMIとも呼ばれる)を誘発する可能性があります。

冠動脈疾患は、以前は男性の病気だと広く考えられてきました。女性は閉経するまで高濃度のエストロゲンによって守られているため、40〜50歳代では男性の方が多く認められますが、閉経後は女性にもこの病気が多くみられるようになってしまいます。

原因

冠動脈疾患のほとんどの原因は、冠動脈の内壁に蓄積したコレステロールなどの脂肪性物質(アテローム、あるいはアテローム硬化斑[プラーク]といいます)です。この過程はアテローム動脈硬化と呼ばれ、そのアテロームの突然の破裂や徐々に動脈の内腔が狭められ、血流が低下、または遮断されてしまいます。またそのアテローム動脈硬化は心臓だけでなく首・胸腹部・手足の動脈などにも影響を及ぼします。

また血管の動脈硬化による冠動脈疾患以外にも、冠動脈のけいれん(れん縮)によっておこる冠動脈疾患もあります。この血管のけいれんは現時点において主なメカニズムは分かっておらず、自然発生する場合(体質的なもの)や、タバコのニコチンやコカインなどの薬物およびその副流煙が原因で起こる場合もあり、血管のけいれんを予防する薬や血管拡張剤の使用や禁煙や環境整備で改善することもあります。

まれに先天異常や川崎病などのウイルス感染症、全身性エリテマトーデス、動脈炎、心房や心室から冠動脈の1つに流入した血栓、けがや放射線療法による物理的損傷などで冠動脈疾患をおこす場合もあります。

冠動脈の血流が低下・停止することにより心筋虚血・心筋壊死と呼ばれる状態になり、心臓は正常なポンプの働きをすることができなくなってしまい、ひどい場合は心停止や致死性(命にかかわる危険な)不整脈などを起こすこともあります。

危険因子(リスクファクター)

冠動脈疾患の発症に影響を及ぼす危険因子には以下のものがあり、対処できるものと、残念ながら対処できないものがあります。

  • 対処できるもの

    喫煙・高血圧・脂質異常症[高脂血症]・糖尿病・肥満(過食・運動不足)

  • 対処できないもの

    加齢・男性・家族歴[近親者に50~55歳未満で冠動脈疾患を発症した人、家族性高コレステロール血症の方がいる]

また喫煙は冠動脈疾患と心臓発作のリスクを2倍以上に増やし、受動喫煙もリスクを上昇させるため、喫煙者のみならずライフパートナー(夫婦・子供)に対しても影響を及ぼしてしまいます。

予防

冠動脈疾患は危険因子を修正することによって予防できます。危険因子の中には相互に関連するものがあり、1つを改善すると関連のある別の危険因子も改善できる場合があります。

喫煙

禁煙は最も重要です。禁煙すると、冠動脈疾患の発症リスクは喫煙を続けている人の半分に低下します。この場合、禁煙するまでの喫煙期間の長さは関係ありません。また、禁煙によって冠動脈バイパス術後や心臓発作後の死亡リスクも減少します。受動喫煙を避けることも重要です。

食事

健康を増進するには、毎日のカロリー摂取量のうち脂肪の割合が25~35%を超えないように制限することが勧められます。しかし、冠動脈疾患のリスクを減らすには、脂肪の割合を10%まで制限する必要があるという意見もあります。低脂肪食は、高くなった総コレステロールとLDL(悪玉)コレステロールの値を下げるだけでなく、他の危険因子を改善する効果もあります。

運動不足

積極的に運動をする人は冠動脈疾患や高血圧を発症する可能性が低くなります。持久力をつける運動(速足でのウォーキング、サイクリング、ジョギングなどの有酸素運動)や、筋力を増強する運動(フリーウエートやウエートマシンを使ってのレジスタンストレーニング)は、冠動脈疾患を予防する効果があります。毎日30分間ウォーキングするだけでも効果は得られます。体調を崩している人や長い間運動をされていなかった方は運動を始める前に一度ご相談下さい。

肥満

食生活を見直し、運動をすることで肥満はコントロールできます。アルコールはカロリーが高いため、飲酒量を減らすことも肥満の調節に有効です。体重を5~9キログラム落とすことによって、冠動脈疾患のリスクを減らすことができます。

治療

冠動脈疾患を有する人に対しては、次の3つの目的で治療を行います。
すなわち、心臓の仕事量を減らすこと、冠動脈の血流を改善すること、アテローム動脈硬化の進行を遅らせる、または回復させることです。
心臓の仕事量を減らすには、血圧コントロールを行い、ベータ遮断薬やカルシウム拮抗薬など心臓を激しく拍動させない薬を使用します。
冠動脈の血流低下に対しては、経皮的冠動脈インターベンション(PCI:冠動脈の狭い部位にバルーン[硬い風船]やステント[ステンレスでできたメッシュ型のチューブ]で広げる内科的治療)冠動脈バイパス術(CABG:動脈あるいは静脈の一部を冠動脈につなぎ、大動脈から心筋に新しい血流ルートを作る外科的手術)で改善することができます。
また食生活を見直し、運動し、特定の薬を服用することでアテローム動脈硬化が回復する可能性があります。

当院では基本的に薬物治療のみを行っており、経皮的冠動脈インターベンションや冠動脈バイパス術などの特殊な検査や入院治療が必要な場合は、迅速に高度医療機関へ紹介致します

胸痛を自覚される方や、検診で心電図異常などを指摘されご心配な方はお気軽にご相談ください。