HDFとは、英語のHemodiafiltrationの略で、血液濾過透析と訳されています。
HDFは、透析中に「置換液または補充液」と呼ばれる透析液とほぼ同等な点滴を血液中に大量に入れながら、同時に入れた点滴と同じ水分量をダイアライダーから濾していきます。
通常の血液透析では、透析膜を介して血液と透析液間に生じる物質(毒素)の濃度差を利用した「拡散」・「浸透」という現象によって、分子量の比較的小さな毒素である尿素窒素(BUN)・クレアチニン(Cr)・尿酸(UA)などが効率よく除去されます。しかし、以前のダイアライザーでは低分子蛋白質領域に大きめの毒素である代表的なベータ2ミクログロブリン(β2-MG:分子量11,800ダルトン)と呼ばれる物質は、あまり効率よく除去されませんでした。そこでHDFは、この大きい毒素を効率よく除去するために、もう一つの透析原理である「濾過」を最大限に引き出す治療法なのです。そのため、透析中に「補液・除水」を行うことで、ダイアライザーを介し大きな毒素が水分と共に透析液側に引っ張り出されるように排出されます。
HDFの利点は、β2-MGをよく取り除けるだけではなく、透析中の血圧が下がりにくいことや心臓への負担が血液透析よりも小さいことなどが知られており、長時間透析を行い、血液透析では対処できない透析アミロイド症または透析困難症の患者さまに限り、実施しております。
なお、最近のハイパフォーマンス(高性能)ダイアライザーによりβ2-MGの除去については、かなり効率が良くなってきました。当院では全透析ベットに透析液にカーボスター(無酢酸透析液)を使用していることでβ2-MG除去の向上目指しております。